開示業務とは?企業の情報開示を支える会計・経理の専門領域

開示業務は、企業の財務情報・経営情報を資本市場へ正しく伝えるために欠かせない重要な業務です。会計・経理の専門知識を前提に、制度やルールの複雑さを踏まえた正確かつ継続的な対応が必要になります。
そのため、開示業務には高い専門性が求められます。
本記事では、開示業務の定義や社会的な役割を整理し、求められる専門性について解説します。
開示業務とは何か

開示業務とは、企業の決算や経営に関する情報を、ルールに従って正確に資本市場へ伝える業務です。
以下では、開示業務の定義とその目的、社会的な役割について整理します。
開示業務の定義
開示業務とは、企業が外部の利害関係者に対して、財務情報や経営に関する重要な情報を、法令・取引所のルールに基づき正確かつ適切に公表する業務です。
企業の決算内容や経営状況について、投資家が正しく理解できるように、定められた形式・期限・内容で情報を整理し、公表する一連の業務を指します。
開示業務では、財務諸表や注記情報・非財務情報を正しく理解し、会計基準・開示ルールに沿って整理することが求められます。そのため、会計・経理等に関する専門知識は、開示業務を支える前提条件といえます。
開示業務の目的と社会的な役割
開示業務の目的は、企業の財務状況・経営内容について、資本市場が適切に判断できる情報を、法令および取引所のルールに基づき正確かつ公平に提供することです。
企業が持つ情報を投資家にも理解しやすい形で整理・公表することで、市場が適切な判断に基づいて取引できる状態を整え、企業が市場で正しく評価されることを支えています。
また、開示業務は、企業と投資家の間に生じやすい情報の偏りを是正し、市場が適切に機能するための基盤となる役割を担っています。
適切な情報開示が行われることで、企業の説明責任が明確になり、ガバナンスの強化にもつながるでしょう。
こうした積み重ねが、市場の円滑な機能を維持し、企業の持続的な成長を支える重要な要素となっています。
開示業務において会計・経理の専門性が求められる背景
開示業務は、企業の財務・経営情報を資本市場へ正確に伝える業務です。
決算数値や注記事項を扱う場面が多く、会計処理・会計基準に対する理解が不可欠なため、高い専門性が求められます。
会計・経理の知識が必要な専門領域
開示業務は、企業の決算内容や財務状況をもとに情報を整理し、資本市場に向けて正しく公表する専門的な業務領域です。
決算全体の内容を把握したうえで、開示書類として数値や記載内容に矛盾が生じないよう全体を整理する役割を担います。
この業務では、経理処理の流れや決算業務の全体像を理解していることが前提です。
そのため、日常的な経理業務や決算対応を通じて培われた会計・経理の実務経験が、開示業務を支える土台となります。
財務諸表や会計基準を前提とした情報開示
開示業務で作成される書類は、財務諸表の数値や構成を前提として組み立てられます。
各数値がどのような会計基準や会計方針の考え方に沿って算定されているのかを理解していなければ、内容を正しく整理することはできません。
また、開示書類では、数値がどのような会計方針や見積もりに基づいて算定されたのかについても説明が求められます。
これらの情報を整理するには、会計基準の考え方を理解したうえで、数値や記載内容に不整合がないかを確認しながら判断することが重要になります。
開示情報の正確性が企業の信頼性に直結する点
開示情報は、資本市場が企業を評価する際の重要な判断材料のひとつです。
開示業務では、決算数値や注記情報など多岐にわたる情報を正しく取りまとめる必要があり、正確性を保つための慎重な確認が不可欠です。
記載内容や数値に誤りがあれば、企業の実態を正しく伝えることができません。
また、開示内容の誤りや修正が頻発すると、企業に対する不信感を招く可能性があります。
そのため、開示情報の正確性は、企業の信頼性や市場からの評価に直結する要素であり、開示業務においても最も重視されるポイントです。
開示業務の種類と内容

開示業務は、法定開示・適時開示・任意開示の3つに分類され、それぞれ根拠となるルールや求められる役割が異なります。
いずれも会計基準や制度への理解を踏まえたうえで、情報を正確かつ分かりやすく整理することが求められる専門性の高い業務です。
なお、法定開示には、会社法に基づく開示も含まれますが、本記事では資本市場向けの開示業務を中心に解説しています。
以下では、開示業務の3つの種類とそれぞれの内容、ならびにIR資料との違いについて整理します。
法定開示とは(金融商品取引法に基づく開示)
法定開示とは、金融商品取引法に基づき、上場企業などに作成・提出が義務付けられている開示を指します。
投資家が企業の状況を正しく判断できるよう、決められた内容・形式・期限で情報を開示することが求められます。
法定開示では、正確性と網羅性が特に重視され、会計・経理の専門知識を踏まえた対応が不可欠です。
有価証券報告書
有価証券報告書とは、企業の事業内容・財務状況・経営成績・リスク情報などを網羅的に開示する法定開示書類です。
上場企業などが金融商品取引法に基づいて各事業年度ごとに作成・提出します。
有価証券報告書は、投資家が企業価値やリスクを判断する際の基礎資料になるため、正確性・網羅性が特に重視されます。
記載事項が多く、財務情報だけでなく事業内容や経営に関する定性的な情報も含めて整理・開示する点が特徴です。
四半期報告書
四半期報告書は、原則として3か月ごとの業績や財務状況を開示するための書類です。
事業年度の途中経過を開示することで、投資家が期中の業績動向を把握できるようにする役割があります。
短期間での作成が求められるため、迅速性と正確性の両立が重要とされています。
※制度改正により四半期開示のあり方は変化していますが、開示業務としては引き続き期中情報の正確な整理が求められます。
内部統制報告書
内部統制報告書は、正確な財務報告を実施できる社内体制が適切に機能しているかを評価し、その結果を示す法定開示書類です。
資本市場に対して、財務情報の信頼性を確保する仕組みが整っていることを示す役割を担います。
財務数値そのものではなく、財務報告の正確性を支える業務プロセスや管理体制を企業自らが示す点が特徴です。
実務上は、評価範囲の設定や重要性判断など、一定の専門的判断を伴う点が特徴です。
適時開示とは(証券取引所ルールに基づく開示)
適時開示とは、証券取引所の定めるルールに基づき、投資判断に影響を与える情報を速やかに公表する開示です。
企業の業績や財務状況に関する重要な変化、経営判断に関わる事象などを、遅延なく資本市場へ伝えることが求められます。
適時開示では、迅速性・正確性を両立させる必要があり、会計・経理の知識を踏まえた判断と的確な情報整理が重要になります。
決算短信
決算短信は、決算内容を投資家へ伝えるために公表される適時開示資料です。
損益や財務状況の概要、業績予想などを簡潔にまとめ、投資家が決算の全体像を把握できるように整理されています。
業績予想の修正
業績予想の修正は、企業がこれまでに公表した売上高や利益などの業績見通しについて、重要な変更が生じた場合、その内容を外部に開示することです。
業績の進捗状況や事業環境の変化などを踏まえ、公表済みの業績見通しと実績見込みに乖離が生じると判断された場合には、その内容・理由を整理して開示します。
業績予想の修正は、投資家の判断に大きな影響を与える可能性があるため、速やかな情報開示が重要になります。
任意開示とは
任意開示とは、企業の考え方や戦略、事業の特徴などを投資家に分かりやすく伝える情報開示です。
企業が自主的に行う情報開示であるため、公表する内容や形式は一定の自由度があります。
任意開示は、法定開示や適時開示のように、実施が義務付けられているものではありません。
一方で、開示内容の正確性や他の開示との整合性については、十分な配慮が求められます。
決算説明資料
決算説明資料は、決算内容や業績のポイントを投資家に分かりやすく説明するために作成される資料です。
財務数値の背景や事業別の状況、今後の見通しなどを補足的に示すことで、投資家の理解を深める役割を担います。
統合報告書

統合報告書は、企業の財務情報と非財務情報をあわせて開示し、中長期的な価値創造の考え方を投資家に伝えるための任意開示資料です。ここでいう非財務情報とは、企業の経営戦略やガバナンス、リスク管理、サステナビリティへの取り組みなどを指します。
これらの情報を通じて、企業がどのように価値を生み出し、将来にわたって成長していくのかを総合的に示します。
開示業務とIR資料との違い
開示業務は、企業に公表が義務付けられている企業情報を、法令や証券取引所のルールに基づき、正確に開示する業務です。
一方、IR資料は、投資家が理解しやすい形で情報を伝えることを目的としており、法令上の提出義務はありません。
役割は異なりますが、実務上は内容の正確性や整合性を保つために連携して進められます。
開示業務を専門的に担う環境の特徴
開示業務を専門的に担う環境では、情報開示を一時的な業務ではなく、継続的に取り組む専門領域として位置づけています。
当社では、会計・経理の知識を前提に、開示制度や実務への理解を深めながら業務に携わることができ、一定の品質を保つための体制・プロセスも整えられています。
そのため、専門性を活かしつつ、安定した形で開示業務に向き合える点が特徴です。
開示業務に特化した業務体制が整えられている点
開示業務を専門的に担う環境では、法定開示や適時開示が主たる業務として位置づけられています。経理や財務の定常業務との兼務ではなく、開示業務そのものに集中できる体制が整えられている点が特徴です。
そのため、会計・経理の専門知識を活かしながら、制度理解や実務経験を継続的に積み重ねることができます。
専門領域として開示業務に取り組める点は、実務経験者にとって重要な要素です。
一定水準の開示品質を維持するための確認・レビュー体制
開示業務では、正確性や整合性が企業の信頼性に直結するため、個人に依存しない確認・レビュー体制が重要です。開示業務を専門的に担う環境では、複数の視点で内容を確認するプロセスが整えられ、一定水準の開示品質が担保されています。
レビューにより会計基準や開示ルールの理解を深められるため、実務を通じた専門知識の蓄積につながります。
まとめ|開示業務という専門性の高い業務領域
開示業務は、企業の財務・経営情報を正確に資本市場へ伝える、専門性と責任の高い業務領域です。会計基準や開示制度への理解を前提に、正確性・整合性が常に求められる点に特徴があります。
開示業務を専門的に担う環境では、会計・経理の実務経験を活かしながら、開示業務そのものに継続的に向き合える体制が整えられています。
公認会計士や経理担当者として培ってきた知識・経験を、専門領域で発揮したいと考える方にとって、ひとつの有力な選択肢となるでしょう。


